2025/07/17

お酒のない日々

きっかけは四旬節だった。

四旬節(受難節、レント)とは、「灰の水曜日」から復活祭までの期間を指す。
私が初めてこの期間を認知したのはドイツ留学中、タンデムパートナー(Sprachzwillinge「言葉の双子」。お互いの学習言語、私の場合はドイツ語/日本語の学習パートナー)として週1回カフェでお茶していたBさんが、プロテスタント教会のキャンペーン「7 Wochen Ohne(英訳すれば7 Weeks Without、「7週間〇〇無しで」の意。四旬節(7週間)の期間に何かを我慢するチャレンジ)」を教えてくれて、Bさんが断食をしている話で盛り上がった。
このとき、四旬節は何かを我慢する期間として、私のなかに刷り込まれたのである。

それから、断食も四旬節の我慢も、結局することはないままに、20年経ってしまった。
そんな私が、今年の四旬節、いや、正確に言えば四旬節の少し前から禁酒をしたのだ。
というのも、四旬節の2週間前のとある飲み会で、ひさしぶりに初対面のひとたちと飲み、ひさしぶりに飲み過ぎて、ひさしぶりどころか、未だかつてないレベルで酔っぱらい…
端的に言えば、お酒は当面控えますと夫に宣言(=謝罪)して、そのまま四旬節に突入したのだった。

そもそも20年前、私がドイツに留学すると言ったら、友人たちは「ビールを飲みに行くんでしょ」と納得したほどビール党の私。
さすがに最近は量が減ったとは言え、日々の晩酌で缶ビール1、2本は普通だった。
2年半前に聴神経腫瘍の手術をした時も、入院前日は夫と病院近くのロイヤルホストでビールと赤ワインを飲み、1ヶ月の入院を経た退院時、飛行機に乗れずJRで1泊2日かけて札幌に戻る際には、宿泊した函館のホテルでひとりサッポロクラシックを空けた。
だから、1ヶ月以上の禁酒はほぼ記憶になく、もしかして飲酒人生で初めてかもしれない。

結論から言うと、四旬節の7週間の禁酒はできたし、しかも、自分でも意外なほどすんなりとできた。
前半は、飲みすぎやらかしの反省の勢いで突っ走ったから問題なし(?)として、後半、さすがにちょっと飲みたいかもと思ったところで、秘密兵器を投入したのも勝因だと思う。
それが、ノンアルコールワイン「カール・ユング(Carl Jung)」だ。

このカール・ユングのワイン、ユンギアンの夫が最初に見つけて、ちょうどいい機会なのでお試ししてみたら、これがびっくりするほどワインで、飲むうちにちょっと酔っぱらったかも、なんなら翌日にじゃっかん二日酔いになったかも?と思うほど。
ちなみに「ビールは苦いからキライ」な夫曰く、カール・ユングの赤ワインは「あまりにもジュース」だけど、スパークリングワインは「かなりいい」とのこと。

そういうわけで、ぶじに四旬節を乗り切って、復活祭にはひさしぶりのビール。
これは毎年の恒例にしてもいいかもしれない、と思ったのだった。

その後は晩酌を再開していたのだけど、最近パートを始め、慣れない仕事でちょっと不安もあったので、仕事がある日の前日はお酒を飲まないようにしていた。
それで、ついに禁断のノンアルビールに手を出してしまった。

ここで告白すると、ビール好きの私としては「発泡酒」や「第三のビール」の類はもちろんのこと、ドイツの「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」に準拠していない、すなわち「麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料」としていないビールはおしなべて邪道、と思っている。

【注:以下、名もなきビール原理主義者による個人的意見です】
飲み会の場所を自分で予約するときは、かならずビールの銘柄を確認するし、他の人が予約する時も、どこがいい?と聞かれれば「ビールが飲めるところ」と答え、もし気心が知れた人なら「ヱビスか一番搾りかモルツがあるところ(瓶があれば最高)」と付け加える。
そして実は、自分では絶対に予約せず、他の人が予約したら最高にがっかりなのが、ビールが「アサヒスーパードライ」一択、というお店なのだ。
(悲しいことに、そういうお店はけっこう多い。純粋令に準じていないラガーとか黒ラベルとかでもいいから、せめて選択肢はあってほしい。)
凍らせたジョッキにスーパードライ、なんて、ビールに対する冒瀆以外の何物でもない!と本気で思っている。

そんな私が、先日のミサの後、はじめて教会の中庭でのバーベキューに参加し、スーパードライとほぼ同じ見た目の「アサヒドライゼロ」を飲んでみて、驚いた。
これ、(ビールの方の)スーパードライじゃん!

少し前に、別銘柄のノンアルビールは飲んだことがあって、その時はまあビールテイストの炭酸飲料と思えば飲めるかもね、と思ったのだけれど、それと比べてドライゼロは、純粋令基準には到底及ばないとしても、それでもかなりビールに近い。
例えて言うなら、ビールを頼んでスーパードライが出てきたら怒るけど、ノンアルビールを頼んでドライゼロが出てきたら喜んじゃう、というくらい。

パートにも慣れてきて、そろそろ前日禁酒縛りはなくてもいいかな、という気もする。
でも、カール・ユングのワインとドライゼロがあれば、禁酒を意識せずにやり過ごせそう、と思う今日この頃である。


ある日の仕事の成果



夏色のキュロット座席と同化して北広島行き途中下車す


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